鳥取家庭裁判所 昭和33年(家ロ)6号 決定 1960年3月28日
申立人 森口寿夫(仮名)
義務者 田川洋子(仮名)
主文
本件申立を却下する。
理由
一、上記調停事件について成立した条項は次のとおりである。
申立人 森口礼子
相手方 森口寿夫
(1) 相手方は申立人に対し申立人名義の、かに広第四六四〇〇号公務扶助料証書を昭和三二年一月○○日限り相手方宅において引き渡すこと。
(2) 将来において申立人の意思により相手方において申立人を扶養するに至つたときは、そのときより申立人は申立人名義の前記公務扶助料の受領を相手方に委任し該扶助料は申立人の養育費に充当するものとすること。
二、上記調停条項は、礼子の親権者田川洋子と礼子の事実上の監護養育に当つていた寿夫との間に、礼子名義の公務扶助料受給資格について粉争が生じた結果成立したものであつて、その趣旨は、洋子もしくは寿夫のうち、礼子の福祉のために、その事実上の養育に当るものとしていずれかが、年金受給に当るべき意味で定められたものと解される。
三、按ずるに、調査の結果によれば、礼子は既に一七才に成育し、洋子は勿論、寿夫の養育にもかかわらず、岐阜県○○市において独立の生計を営むことが認められるので、寿夫が礼子を養育していることを理由とする本件申立は理由がないと言はざるをえず、却下を免れない。
よつて主文のとおり決定する。
(家事審判官 深谷真也)